主人公ちはやが築く友人ふたりとの人間関係が学校でのいじめを背景にしている。クラス単位で無視をしたり,友人を装って話しかけて返ってきた言葉をメモして馬鹿にしたりする。いじめのひどさが後に作られる友人関係をドラマティックにしているものの,陰湿ないじめを主導しているような奴と友人になる点には共感できない。そいつは,たまたま今回は主人公との関係は作れたけれど,そうじゃない相手や,状況によってはまた陰湿ないじめをする可能性は高いだろうしね。作品としていうと,いじめを人間関係を魅せるためのスパイスとして割りと軽く使っているところが読んでいてあんまり良い気持ちはしない。